例えば「食」については近年、「生産者の顔が見える安心感」がブランド価値として認められるようになってきました。
しかしながら「もの」については、我々町工場は依然として「どこかの誰か」でしかありません。
ものづくりに興味がある・ないの次元ではなく、「そもそも接点がない」というところに問題の根本はあるのでしょう。
まずは我々の存在を認知してもらう。そのための取り組みのひとつが「スミファ-すみだファクトリーめぐり-」です。
スミファとは、墨田区の町工場を一般に公開し、同時に様々なツアーやイベントを開催するオープンファクトリーイベントです。
2012年から年に一度のペースで開催されており、昨年は1500人の方にご来場いただきました。
「来ていただいた一人一人の心に残るようなイベントにしよう」ということを念頭においており、そのために、学生向け・女性向け・デザイナー向け・・・などターゲットを絞ったツアーや企画が開かれています。
町工場が主体となって地域のお祭りを作り上げていくことを通じて、まずは地域の人々に認知され、次いで、地域の中で「当たり前に存在感のあるもの」になり、そして地域の外の人々にも認知されていく・・・という流れを作っていきたいです。
ただし、ものづくりとの接点がない人をいきなり呼び込むことはできませんので、まずは、多少なりとも興味がある方に楽しんでいただくことで、ものづくりに対する認知の裾野を広げていけたらと思います。
ゆくゆくは墨田を訪れる方々に「灰色のシャッターの中に、何があるんだろう?」と興味・期待を持っていただける街づくりを目指して、職人の顔がブランドとなる日を夢見て、地道に活動して参ります。