セイコーミュージアム様所蔵の最古の機械式時計(西暦1500年頃の製造)を最新のファイバーレーザー溶接機を使って修復いたしました。

セイコーミュージアム様(所在地:東京都墨田区)に所蔵されている歴史的な機械式時計の修理・修復を弊社で承りました。

IMG_1221_666
今回修理を行った鉄枠塔時計。西暦1500年頃にイギリス製で製造されたもので、機械式時計としては最初期の部類に入るものです。イギリスではあのヘンリー8世が統治したころのものだと推測されます。シェイクスピアが生まれる少し前です(日本は室町時代)。

DSC_0894_666
機械式時計の心臓部である脱進機の部品です。真っ直ぐな棒に二つの小さなツメがついていますが、下のツメが取れてしまい、上のツメについても他のパーツ(ガンギ車)とぶつかる部分が磨り減って大きく抉れていました。

機械式時計から聞こえるカチカチという規則的な音は、このツメとガンギ車のぶつかる音で、根本的な原理は現在の機械式時計と同じです。ツメの磨り減り具合は、500年という時間を感じさせるのでした。

DSC_0898_666
上下双方のツメについて磨り減った部分を肉盛して均し、取れてしまった下のツメは丸棒でカシメ直してからファイバーレーザー溶接機で接合し、色調を周辺部に合わせる処理を行いました。

IMG_1354_666
パーツの素材は鉄系のものであることは間違いないのですが、何しろ数百年も前のものですので、炭素の含有量など、組成についてはっきりした事は分かりません。
作業は慎重を極めて進められました。

DSC_0301
今回使用したファイバーレーザー溶接機は接合部分だけをピンポイントに深く溶融することで周囲への熱影響を極力押さえることのできる最新鋭の溶接機で、溶接部の焼けもほとんどありません。繊細な製品にうってつけで、0.1mm厚の板や異材の接合にも使用できる優れものです。

今回の修理・修復を終え、鉄枠塔時計は無事動き出しました。
500年前の止まってしまった時が動き出したようで嬉しい限りです。
これからも末永く時を刻み続けて欲しいですね。


最新ニュース

2024-12-20
お知らせ

年末年始休業のお知らせ(12/28-1/5)

平素は格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。甚だ勝手ではございますが、弊社の年末年始の休業は下記 … 続きを読む

2024-11-21
お知らせ

ひがしんビジネスフェア2024に出展いたします

浜野製作所は、ひがしんビジネスフェア2024に出展いたします。ブースでは、千葉大学さんとコラボレーシ … 続きを読む

2024-11-01
お知らせ

【2024スミファ】浜野製作所も参加いたします

浜野製作所は、2024年11月22日(金)・23日(土)に開催される「第12回すみだファクトリーめぐ … 続きを読む

2024-10-15
お知らせ

新体制のご報告

2024年10月に浜野製作所は第48期を迎え、下記の通り役員が就任いたしました。 毎年期首に開催する … 続きを読む


最新ニュース・記事一覧へ